最期に教えてくれること
- 麻絵 横山
- 2015年11月3日
- 読了時間: 3分
少し時間が空いてしまいました。
最近、私の大事な方の、大事な方が、お亡くなりになりました。
心中を察すると、何もできない自分にイライラしたりしますが、
極限状態の中、ご立派に滞りなく式を取りしきられたお姿に、
哀悼の意と共に、深い敬意を表したいと思います。
ここからは私の経験なのですが、
これからあの世に旅立たれる方は、
残って生きていく者たちに、
大事なことを教えてくれる。
人生が変わるようなターニングポイントを与えてくれる。
と感じています。
個人的な話ですが、
私は祖父が亡くなる何か月か前から、
「自分はこのままでいいのだろうか…」
と思い悩んでいました。
鍼灸師という国家免許を持ち、
医療人という自負をもって患者さんに対応していかなければいけない、
しかしそれまでの私は、
健康な人しか診たことがなく、
これから死に向かっていく祖父に対して何もすることができませんでした。
何が起こるかわからなくて、身体に触れることができませんでした。
祖父が亡くなってすぐ、
私は在宅マッサージの会社への転職を決めました。
重たい病気の方に何をしたらいいのか、
これから死に向かう方に何ができるのか。
今はあの時よりは、ほんのちょっとだけ、見てきた。
という自負がちょっとだけあります。
在宅時代は、
あまりたくさんではないけれど、
何人かの患者様をお見送りしました。
どんどん症状が悪化して、幻覚が見えていたのに、
最後まで私のことは認知していてくれた方。
先週までは何の変りもなく、突然の訃報に言葉が詰まったこと。
食欲がなく、ほとんど食事をとられない状態でも、
「…おはぎならたべれるかも…」とおっしゃっていたので、
次回の施術時に差し入れようと準備していた矢先のことで、
仏前に供えさせていただいたこともありました。
その度に
「今はこの瞬間しかない。後悔しないように接しよう。」
「心からの施術は、目に見える効果が出なくても、患者さんの心には届くんだ」
「肝臓がんの末期では、背中が辛くなるけど、この箇所を押すと少し楽になるんだな」
等々…
と、沢山の大切な気づきをいただいてきました。
大事な方の死を目の前にして、乗り越えて、
家族の形が変わったご家庭、
私のように職が変わった人、
考え方や、行動、生き方が変わった人、
いろんな方がいましたが、
きっと、これか旅立たれる方が私たちに残してくれた、
大事なギフトだと思うのです。
私は現在は在宅マッサージの会社を辞めて、
細々と一人でやっておりますが、
当時、鍼灸師として、人として忘れていた大事なことを、
身を持って思い出させてくれた祖父には本当に感謝しています。
最後になりましたが、
この度は、謹んで哀悼の意を表するとともに、
心からご冥福をお祈りいたします。
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